意外と知られていない節分の過ごし方
2015.02.02文化 , 行事節分といえば、豆まきです。この時期になると、スーパーなどで、鬼やお多福のお面がついた「福豆」などが一斉に並び、神社などでも有名人を招いた豆まきが話題になります。
家庭でも豆まきをする人は多いと思いますが、実際のところ、節分をどのように過ごしたらいいのかよく分からないという方も多いようです。
そこで今回は、節分までの準備や当日の豆まきなどについて、ポイントを3つにまとめてみました。
【節分に関する知識1】節分は新春を迎える準備
節分は、文字通り「季節を分ける」という意味です。本来、旧暦で季節の節目におかれた「立春」「立夏」などの前日にあたる日をさし、年に4回あります。旧暦では、立春を新年の始まりとしていたため、春の節分は大晦日の意味を持っていました。このことから、一年の厄を祓う日として大切な日として重要視されてきた歴史があります。新暦となって、1年の始まりはお正月が一般的となりましたが、春の節分の風習はそのまま受け継がれ、節分といえばこの日をさすようになりました。
季節の変わり目に生じるとされる邪気を払い、1年の無病息災を祈るのが節分です。そこで、まずは新年を迎えるように、室内外のお掃除をして、清清しい気分で節分の準備をしましょう。邪気(鬼)の進入口とされる玄関や勝手口、窓は特に念入りに。室内にまかれた豆には、福が宿っているため、食べたほうがよいとされています。拾って食べられる位に床も掃除をするのが理想です。
掃除が済んだら、節分飾りをしましょう。地域によってさまざまですが、柊(ひいらぎ)の小枝に焼いた鰯の頭をさした、柊鰯(ひいらぎいわし)が良く知られています。柊のとがった葉の形が鬼の目を刺し、鰯はその臭いが鬼を遠ざけるといわれ、門口から鬼が入ってこないようにするための魔よけの役目を果たします。他にも、にんにくやラッキョウなど、鬼の嫌うものを使ったその土地ならではの節分飾りもあります。最近ではこうした節分飾りの利用は少なくなっているようですが、お正月の飾りのように、門口や室内にこうしたアイテムを配することで、節分を迎える気分がぐっと高まります。
【節分に関する知識2】節分で使用する「福豆」とは
節分に欠かせないのが福豆です。福豆とは、炒った大豆のことです。ではなぜ、福豆は炒った大豆なのでしょうか。
炒った大豆を用いる理由は、厄祓いにまいた豆が、地に落ちて芽を出してしまっては縁起が悪いためです。大豆を豆まきに使うのは、古くから穀霊が宿る五穀として、米についで神事に用いられてきたことと、豆の発音が「魔滅(まめ)」に通じるためです。また、米よりも大きく、邪気を祓う粒(つぶて)としてまきやすいことも理由として挙げられます。こうして神仏にそなえられた大豆は、神通力を持つといわれ、季節の変わり目に生じる邪気(鬼)を封じる、鬼払いの行事に使われるようになりました。大豆をまくようになったのは、平安時代に京都の鞍馬山に鬼が出て、炒り大豆をぶつけて鬼の目をつぶして退治したという故事に由来します。ここから宮中行事として節分の豆まきが始まり、江戸時代に庶民にも広まったといわれています。
福豆はスーパー等で簡単に手に入りますが、念のため、炒り大豆かどうか確認しましょう。時間に余裕がある方は、乾燥大豆を自分で炒って手作りするのもお勧めです。フライパンなどで簡単に香ばしく炒ることができます。ともかく、福豆がなくては節分は始まりません。前日までに用意してください。
前日までに用意するのには理由があります。それは、豆に鬼を打つ力を備えるためです。鬼を祓う福豆は、正式には神社やお寺でお払いをうけるのが最適です。しかし、なかなかそこまではできないという方がほとんどでしょう。そこで、家庭に神棚や仏壇があれば、用意した福豆を、豆まきを行う節分の夜まで置いておきます。神棚や仏壇がない場合は、豆まき用の枡やきれいな器に入れて準備しておきましょう。いずれにせよ、節分を迎えるにあたり、福豆に邪気を祓う神通力を頂く、という気持ちで用意することが大切です。
【節分当日の過ごし方1】豆まき
鬼は、夜暗くなってから現れるといわれています。このため、節分の豆まきは夜になってから行いましょう。豆をまくときに大切なのは、声を出してまくことです。恥ずかしいと思われるかもしれませんが、できれば大きな声を出すのが望ましいです。福豆を鬼にぶつけるだけでなく、声を出すことで鬼をなえさせ、退散させる力が増すと考えられています。
家族で豆まきをする場合、誰がまくべきなのか迷うという方も多いと思います。節分の豆をまく人は、正式には一家の家長か、年男といわれています。しかし、該当者がいなければ、特にこだわらなくても問題ありません。
次に豆をまく順番ですが、まずは玄関から行います。戸を開けて、「鬼は外!」と声をかけて豆をまいたら、鬼が入らないように、すぐに閉めます。そして、今度は屋内に「福は内!」とまきます。外にまく豆は鬼を払うためで、うちにまく豆は福を頂くためと考えれば分かりやすいでしょう。玄関に豆をまいたら、同じ要領で、各部屋を順にまいていきます。一般的な掛け声は「鬼は外!」「福は内!」ですが、鬼を祭神としている寺社や、苗字に鬼がつく家庭では「鬼も内!」というところもあるそうです。
豆をまく順番は、鬼門から行うなど、地域によって違いもありますが、戸外との出入り口と各部屋を、もらさず行うというのは同じです。まき忘れのないように気をつけましょう。
豆のまき方は、地域や家庭に受け継がれたさまざまなやり方もあります。受け継がれたものを大切にしながら、参考にしていただけたらと思います。
【節分当日の過ごし方1】豆を食べる
福豆をまき終えたら、自分の年齢より1つ多い数(数え年)の豆を食べます。これは、このさき1年の無病息災を願っての習わしです。食べるときは、無言で静かに食べるのが良いとされています。これは、関西の節分で知られている恵方巻を無言で食べるのと同じように、福を呼び込むための祈りの気持ちだと考えられます。ちなみに、恵方巻きは巻き寿司の中に7種の具を巻き込んで七福神に見立てたもので、その年の吉方位に向かって食べますが、節分豆を食べる際には、方位は関係ありません。
年齢によっては、年の数ほどの豆を食べるのが大変という方もいると思います。この場合には、福豆に熱湯を注いだ「福茶」にして飲むのもお勧めです。大豆が苦手な方も、是非お試しください。
【節分が終わったら】後始末の方法
節分でまいた豆は、きちんと後始末をします。室内にまいた豆は当日の内に、屋外にまいた豆は翌朝、ほうきなどきちんと片付けましょう。節分飾りも、立春がきたら片付けます。
室内にまいた豆は、福を持った豆ですから、拾って食べるという人も多いようです。その際、節分前に拾って食べられる位、室内を清潔に掃除しておくという前提が必要です。また、福茶にしたり、洗って料理に使ったりすると、無駄なく福を頂くことになります。ネット上でもさまざまなレシピが紹介されています。
捨て方が分からないという方は、外にまいたものと、室内のものを分けて、別々に半紙などに包んでから捨てるといいでしょう。節分祭を行っている神社や寺では、節分飾りや豆を焼いてくれる(お焚き上げ)ところもあります。事前に問い合わせてみるといいでしょう。
おわりに
節分の準備と当日の過ごし方、後始末についてご紹介しました。節分の風習は地域によってもさまざまです。伝統を大切にしつつ、節分を有意義に過ごしてください。
参考URL
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